全国通訳案内士 二次試験対策

通訳案内士

全国通訳案内士試験の2019年度の合格率を見てみると、一次試験16.0%、二次試験48.0%、最終結果8.5%となっています。

一次試験を突破するのがいかに難しいかわかりますが、そこを突破すれば、二次試験は一次試験ほど厳しくないと言えます。

二次試験は、実際に通訳案内士として資格を与えていいか、英語のレベルだけでなく、日本についての知識やホスピタリティも図る試験になっているので、そういう視点を意識して準備するといいと思います。

実際に受験して、他の受験者の感想や合否の状況を聞くと、英語の力や知識だけでなく、ホスピタリティや対応力をかなりのウェイトで評価している気がします。

質問された内容について知識がなかったとして、そこで黙ってしまうか、知っていることに関連付けて興味を引くスピーチができるかで合否が分かれるようです。

私は一次試験の英語は免除申請したので、二次試験のために英語の試験対策を始めたのは9月からでした。そこから12月初旬の二次試験まで、どのような対策をしたのかを具体的に書いていこうと思います。

毎日1題 スピーチ原稿を書く

二次口述試験のうち、2分間のプレゼンテーションが一番難しい試験になると思います。

お題3つのうちから一つを選んで2分間話さなければなりません。もちろんどんなお題が出るかはわからないので、様々なトピックについてある程度の長さを話せるようになる必要があります。

 「日本的事象英文説明300選」というバイブルのような本もありますが、それをそのまま暗唱するよりは自分でスピーチ原稿を作った方が後々応用もきくのでいいと思います。

私は、無印良品でB5サイズのバインダーとルーズリーフを購入し、まずはオーソドックスなお題を選んで1日1ページ自分なりに英文を書いていきました。。

参考になる本も何冊か買ったのですが表現が難しかったり硬かったりしたので、インターネットでトピックについて英語で検索し、表現などを参考にして、自分に合った自然な文章を作りました。

B5のルーズリーフの片面に下まで英語で原稿を書くと、ゆっくり読んでおよそ2分くらいのスピーチの英文量になります。

「厳島神社」「富士山」「歌舞伎」「浮世絵」「七五三」「お正月」など、海外の人に説明する可能性の高そうなトピックを選んで、1つ書いては右上に通し番号を振っていきました。

過去に出題されたお題を調べて、「スタジオジブリ」「コミックマーケット」など今風のトピックについても書いてみました。何となく聞いたことがあっても2分間話すためには知識を付ける必要があり、スピーチの原稿書きはとても有意義だったと思います。

目標は100題書くことでしたが、11月の中頃までで60題ほど書いたところで、逐次通訳の練習に集中したため、書きためたスピーチを時々読み直して忘れないようにしました。

また、途中からあいうえお順に並び変えてバインダーに入れなおして、検索しやすくしました。

スピーチの原稿を書くことで、口述試験で必要な語彙が増えました。例えば、私の試験の逐次通訳はおせち料理についてだったのですが、おせち料理についても原稿を書いていたので、「重箱」や「黒豆」など、日本独特のアイテムについての表現も、迷わず滑らかに通訳することができました。

大事なことは、毎日必ず1題原稿を書く、と決めて実行することです。最初は原稿を書くだけで時間がすごくかかってしまい、それを覚えるのも大変でした。

でも、完璧な原稿を書かなくてもいいのです。後で書き直した原稿も結構あります。書き直したらバインダーに新しいものを入れなおします。

②また、DMM英会話を活用しました。

毎日決まった時間にレッスンの予約を入れ、それに間に合うように原稿を書き、レッスンで先生にスピーチを聞いてもらいました。

完全に覚えるのは難しいので、原稿を時々見ながらスピーチをするのですが、覚えた原稿をそのまま言おうとすると、忘れた個所で止まってしまうので、言うべき項目を頭に浮かべながら話せるように練習しました。

面白がって聞いてくれる先生が多かったので、原稿を書く励みになったのもよかったです。

また、ランダムにお題を言ってもらって即席でスピーチをする練習もしました。日本文化に興味を持っている講師が多いので、質問もいろいろしてもらえて練習になりました。

逐次通訳対策

これは思ったより難しかったです。まず、子供たちに協力してもらって、過去問やESDICで購入した「英語2次セミナーテキスト」のなかの逐次通訳問題の日本語を少しゆっくり目に読んでもらい、それを日本語で書きとる練習を始めました。最初は日本語でさえうまくメモを取って言うことができず途方にくれましたが、毎日練習するうちに、だんだんキーワードや数字だけメモして自分の言葉で同じ内容を再現できるようになりました。

次に、また子供たちに協力してもらい、一日3、4題ずつ英訳する練習をしました。英文についてはテキストの英訳とは違っても、大体の意味が通ればOKとし、6,7割ぐらい逐次通訳できるようになりました。

一語一句正確に訳そうとするのではなく、大事な項目を漏らさず大体の意味が訳せれば良しとします。

「増加する」を⤴、「あります」を○、など、記号で表す練習もしましたが、そういう些末なところにこだわると大事なところを聞き逃したり、英訳するときにガチガチの英語になってしまいがちなので、キーワードだけ書きとって、大意は覚え、自然な言葉で訳した方がいいと思います。

実際の試験では、初めて聞くような話を訳させるのではなく、日本の文化や習慣などを紹介する問題文が多いので、完璧な翻訳を目指さない限り、7、8割の精度で通訳をすることは練習すればできるようになると思います。

ESDICの土日英語2次セミナー

11月下旬に開催された土日2日間セミナーに参加しましたが、これはとても良かったです。

このセミナーでは、日本人講師による逐次通訳、ネイティブ講師によるプレゼンテーションを二日間にわたりどんどん実践しながら学んでいきました。プレゼンテーションでは、何度か自分がスピーチをする番が回ってくるのですが、実際にスピーチをした後に、加えるべき視点をフィードバックしてもらえたのはとても良かったです。

例えば、「金沢」というお題の場合、歴史的な背景などを長々と説明するよりは、観光客の視点に立って、例えば成田空港に到着したなら、東京から新幹線で2.5時間で行けます、とか、名産品は金箔だが、お土産にするなら金箔入りの化粧品があるとか、そういう情報を入れると聞いている人が興味を持ってくれる、というような視点です。

自分で原稿を作っていたときは、ちょっとネットで検索すればすぐにわかるような内容を無難にまとめていました。もちろん、ベーシックなそういう情報も必要ですが、そこにプラスして旬な情報や興味を引く情報を入れるというのは、受験生はあまり考えないのではないでしょうか。

セミナーで手に入れた英語2次セミナーテキストは秀逸で、それを活用して残りの日数は逐次通訳の練習に力を入れることができました。

ESDICの完全個別指導<模擬面接>

11月末と12月の試験直前に逐次通訳とプレゼンテーションの個別模擬面接をそれぞれ50分ずつ受けました。決して安くはなかったのですが、この面接で段取りがわかり、3回分の逐次通訳、プレゼンテーションの模擬面接をやってもらい、フィードバックもその都度してもらってとても良かったと思います。

特にネイティブ講師のプレゼンテーションの模擬試験では、笑顔がいいから、焦らず落ち着いて受ければきっと受かるよ、と言ってもらえて、少し自信もつきました。

バリューイングリッシュ(オンライン英会話)通訳案内士二次試験対策 6回コース 5,980円

DMM英会話は10月いっぱいで終了し、11月には通訳案内士二次対策コースがあるバリューイングリッシュで週2回計6回のレッスンを受けました。

これは、受けないよりは受けた方がよかったかな、という感じでした。

二次対策コースといっても、過去問をそのまま試験形式で一通りやるだけで、プレゼンテーションのお題はすでにやったことがあるものばかりだったし、講師は日本語ができないので逐次通訳のパートは録音されたものを流し、私が訳し終えたら録音された模範解答をまた流す、というやり方でした。

3つ目のパートの「通訳案内の現場で想定される状況に対する応答」は、講師がツアー客になりきって様々な難題を言ってくるので、それをどのように対応するかを練習できました。これは、いろんなアドバイスがもらえたので良いと思いました。臨機応変に、明るく、ではこうしたらどうでしょう、と提案していく姿勢を学べました。

講師が、きっと大丈夫、と自信を持つように言葉をかけてくれたのもよかったです。

以上が私の二次試験対策です。

2019年度 二次試験を受けて

試験官は笑顔がやさしいネイティブ試験官と、逐次通訳の日本語問題文を読む以外は言葉を発しない日本人試験官の二人でした。

プレゼンテーション

簡単な自己紹介をした後、さっそくプレゼンテーションの3つのお題が書かれた紙を渡されました。

お題は「金沢」「日本の里山」「B級グルメ」の三つだったと思います。「金沢」の一択でした。ESDIC英語2次セミナーでやったトピックがそのまま出ました!

時間いっぱい、金沢の兼六園、古い町並み、金箔などの特産品とそれを使った手軽なお土産、新幹線で東京から2.5時間、約1万4千円で行ける、と時間いっぱい話せました。

それに続く質問は「金沢には有名なお祭りがあるか」「金沢には世界遺産があるか」で、どちらも知らなかったので、少し離れますが高山まつりが有名です、金沢には世界遺産はありません、としか言えなくて話が膨らみませんでした。

次の「金沢で有名な食べ物は何ですか」という質問に、確かセミナーで金沢出身の人が「治部煮」だと言っていたのを思い出し、そう答えると「治部煮とはどんな食べ物ですか」と重ねて聞かれたので、チキンと根菜を醤油で甘辛く煮た食べ物ですと答えると、日本人試験官が「ほう」という顔をしてくれました。

・逐次通訳

逐次通訳は「おせち料理」についてで、日本人試験官の問題を読む速度が思いのほかゆっくりで、ほぼ全部を訳すことができました。上記しましたが「重箱」など日本語特有のアイテムも詰まらず滑らかに訳せたので、また日本人試験官が「ほう」という反応をしてくれました。

一つだけ、おせち料理の名前を3つ挙げられたうち一つが英訳できず、さも2つしか言われなかったかのように止まらず訳しました。

・通訳案内士としての対応

このパートで、ネイティブ試験官が急に席を立ってすぐ横まで来て状況説明を始めました。私も立ち上がるべきか迷ったのですが、即断できず座ったまま回答しました。後でこの場合は立ち上がるべきだったと唯一後悔しました。

状況は「今は夏だが、どうしてもおせち料理が食べたい。しかし、近くのレストランではおせち料理はだせない」というものでした。

最初に、コンビニやスーパーには、おせち料理でも使われる昆布巻きや黒豆などを売っているのでそれを買ってきて食べてみるとおせち料理の雰囲気がわかると思います、と提案しました。

試験官は「コンビニやスーパーで買ってくるのは嫌だな。レストランで食べたい。」と重ねて言ってきたので、ここから新宿まで電車で20分で行けるので、新宿の日本料理店でおせちでも出されるお料理を食べましょうか、と提案しました。

「日本料理店は高いですか?」と聞かれたので、新宿にはお店がたくさんあるので、手ごろなお店を見つけてアラカルトで注文すればそんなに高くはないですよ、私が最適のお店を見つけるので楽しみにしていてください、と言うと「それは楽しみです。」とにっこり笑ってくれて試験は終了しました。

試験を終えて最初の感想は、楽しかった!です。

合格発表のあと

2月に合格した直後には、娘と二人で高野山と大阪に旅行に行きました。地理や歴史を勉強していて高野山にはとても行きたかったのですが、想像以上に素晴らしいところでした。もっと勉強して、通訳案内士としていろんなお客さんを連れていきたいと強く思いました。

また、JFGという通訳案内士が組織する団体の4日間の新人研修に参加しました。

トップガイドのガイディングにはただただ感銘を受けました。成田空港の送迎業務に始まって、鎌倉、箱根、日光へのバスツアー、まとめの座学まで、通訳案内士の仕事の奥深さ、面白さを存分に学びました。とても今の自分にできるとは思えないのですが、小さな一歩を踏み出したので、機会があれば挑戦して、新しい世界へ乗り出していきたいと夢は膨らみます。

コロナ禍でガイドデビューはお預けになりましたが、来るべき時に備え、JFGが企画提供してくれるzoomでの様々なセミナーで勉強をしつつ、次に訪れる場所を考えるのを楽しんでいます。

挑戦の後には新しい世界が開けます。まだまだこれからを楽しみたいと思います。

コメント

タイトルとURLをコピーしました