多読で英検1級に合格する! ① エッセイライティング

英検一級

2012年に初めて受けた英検1級。

その後、2013年、2016年と受験し、3回目に合格しました。

受験結果を分析することで見えてきた、効果的な勉強法について書いてみます。

3回の受験の結果

1回目の受験は不合格Aでした。

得点率で見ると以下のようになりました。

語彙44%・読解80%・リスニング64%・作文57%

この時、読解は意外と取れていました。

翌年、某英検予備校に3ヶ月通って、再受験しました。

結果は不合格Bでした。

得点率でみてみると以下の通りです。

語彙44%・読解50%・リスニング50%・作文71%

読解、リスニング共に得点率が下がっていました。

一生受かる気がしなくて諦めようかと思ったのですが、多読で受かるか実験したくなりました。

英検1級を意識したマテリアルを選んで多読をして、3年後の2016年に合格しました。

得点率を見てみると、

語彙32%・読解87%・リスニング70%・作文84%

と、語彙以外は得点率がアップしていました。

2次試験も無事合格し、晴れて合格証明書をもらいました。

得点率の推移は以下のようになりました。

     2012年  2013年  2016年

語彙    44% → 44% → 32% 

読解    80% → 50% → 87% 

リスニング 64% → 50% → 70% 

作文    57% → 71% → 84% 

多読で再挑戦し合格

2013年以降、英検1級に受かる「技術」を身に付けようと勉強したわけでありません。

今までより、上級のニュース記事やアカデミックな文章を読むようにしたので、1級に対応できる読解の力が自然についていったのです。

多読をやることでどんな力が付くかが点数に表れていて面白い結果になったと思います。

語彙はなかなか成果としては表れませんでしたが、読解力はかなりついたことがわかります。知らない単語があっても、文章の前後から類推する力がつきました。

語彙問題のように単語を単体で抜かれると、正確に答えを選ぶのが難しいのですが、文中にある単語は個々の意味が分からなくても大体の意味を予想しながら読み進めることができるようになりました。

2013年受験前に通った某予備校では「3年通えば皆さん1級に受かりますよ」と言われました。

でも、毎週100語を覚え、授業では英文構造を分解して練習問題をこなしていく、そんなことを3年間も続けて、もしかしたら英検1級を攻略することはできるかもしれませんが、実際に使える英語が身につくのかはとても疑問に思いました。

得点率を見てみると、読解とリスニングが2回目の受験で下がっています。

予備校で読解をする時に日本語に置き換え、構文を分解しながら読んでいたせいか、長文が早く読めなくなっていたようです。

でも、英検1級の試験では語彙問題が25問あるので、ここで点数を取れれば合格しやすくなります。

それで、英検1級対策のために、とにかく単語を覚えるのが不可欠だと言われるのです。

ただ、せっかく単語集で覚えても、試験が終われば忘れてしまうのではないでしょうか。

多読で得た力は、楽器の演奏や運動と同じで、体で覚えるので、しばらくやらなかったとしても忘れません。少しやればすぐにカンが戻ります。

英検に合格した後も、日々の暮らしで英語を使っていけば緩やかに力は伸びていきます。

英検1級合格がゴールではなく、そこから先に進んでいきたい人は、ぜひ、多読で力を付けて合格を果たしてほしいと思うのです。

エッセイライティングの力をつける

初受験まで遡りますが、2012年の初受験に際し、まず取り組んだのは、エッセイライティングです。

私は英文を書くことが1番苦手でした。そもそもエッセイを書いたことがありませんでした。

そこで、6月に試験を受けるため、1か月前の5月からオンライン英会話を始めました。

初日に指摘が的確な先生に当たったので、その後その先生と30日間毎日、200語のエッセイをレッスン前に書き、レッスンで添削をしてもらい、次のエッセイのトピックをもらってまた次の日のレッスンまでに書く、ということをやりました。

まず、基本のエッセイの書き方を覚えるところから始めました。

①まず自分の意見を述べる。
②自分の意見を、実例を挙げながら理論的にサポートする。
 具体例1 
 具体例2
 具体例3
③結論を述べる。

200語以上のエッセイだと、サポートする具体例は3つくらいあると書きやすいです。

最初は100語くらいしか書けなかったのですが、毎日続けていくうちに、肉付けの仕方が少しずつ分かってきました。

使う単語は難しくなくていいので、まず明瞭に意見を述べ、論旨から外れないように気を付けます。

バットの振り方がわかれば、後は身につくまで素振りあるのみ。素振りをすればするほど必要な動きがよりスムースにできるようになります。

1ヶ月の素振りで、本番では得点率57%のエッセイが書けるようになりました。

決して高い得点ではありませんが、ゼロからエッセイライティングに臨んで、1ヶ月で形が少し整ったのは自分の中では自信になりました。

何より、英文を書くことがそんなに苦ではなくなりました。

ノートが残っていたので、エッセイの練習文を載せてみます。

トピック:Should home schooling be made more available in Japan?

I believe that home schooling should be made more available in Japan with the following two reasons.
The first reason is that education in Japan doesn’t encourage children to build their individuality and to get the ability to think for themselves. ※Meanwhile home schooling can help children to harness their potential to its full extent. Some people may say that it will decrease interactions with other people. However, if parents teach children how to communicate and give them enough opportunities to interact with others, it will not decrease their ability to communicate effectively for modern society where individual abilities are being valued more and more.
The second reason is that the children who has the problem to adapt their school life and those with handicap can receive decent education. It is often very hard for them to commute to school everyday. But home schooling can help such children to have the opportunity to learn on equal terms with ordinary children. This is a real benefit too.
As I mentioned, for the aforesaid two reasons, I think the home schooling should be more available in Japan.

※オンライン講師が加えてくれた表現です。なかなか自分ではこういう表現は書けませんでした。

だんだん書き慣れてくると、自分の型ができてきます。
下のエッセイはだいぶ力が抜けて、自分の語彙で楽に書いています。

トピック:Should Japan adopt daylight-saving time?

Some people may say that summer time will cause some confusion but I believe that Japan should adopt summer time for the following three reasons.
The first reason is that it will save energy. After 3.11 earthquake and the following shortage of electricity, saving energy in summer is a big problem for Japan nowadays. To start working early in the morning when the temperature stays low and to leave offices early in the evening save the usage of air conditioner and lights. One of the supermarkets already announced that they put forward the opening hours three hours earlier and the closing hours too this summer.
The second reason is that employees and public officers can leave their workplace earlier and use their spare time effectively. They can go enjoying shopping and having dinner with friends. They can also develop their skills by going to school or study at home. In any case, they can still have the energy to work for the next day.
The third reason is that it will decrease the emission of CO2. The government concludes that daylight-saving time reduces CO2 according to a survey.
As I mentioned above, I believe that Japan should adopt summer time.

3つ目のサポート意見が弱いです。でも、こんな感じでどんどん書いていくといいと思います。

多読と同じで、細かい文法はまずはあまり気にせず、トピックに対して2つか3つのサポート意見を考えてたくさん書いていきます。

不思議なことに、添削されてもされなくても、文法ミスは数をこなすとだんだん減っていきます。

エッセイが苦手な人は、200語くらいの英文が少し楽に書けるようになるまで頑張ってみてください。

そのうち、書くことが楽しくなってくるはずです。

エッセイの型を覚えたら

2012年の受験の前に、初めてオンライン英会話スクールに入りました。

そして、30日間も毎日続けて同じ講師とエッセイに取り組んだので、その講師とすっかり友達になりました。

そのオンラインスクールはフィリピンのセブ島にあるオフィスに講師が出勤してレッスンをするので、講師同士の交流が盛んで、他のいい先生を紹介してもらったり、私がレッスンを受けているとレッスンの空きがある友達の講師が部屋に乱入してきたりして、とても楽しい時間を過ごしました。

今は、どのオンラインスクールも、講師と生徒が個人的につながることを禁止しているようですが、当時はメッセンジャーなどで個人的にチャットをして交友を深めることができました。

エッセイライティングはもちろんですが、チャットでのやり取りで英文を書くこと自体が自然なことになっていったことも大きいです。

その頃、Lang-8という相互添削サイトで、私は自分の英語を添削してもらい、さまざまな国の人の日本語を添削してそこでも友達ができました。

Lang-8は、チャットよりある程度まとまった文章を書く必要があったので、英文を書くことに慣れるのにとても良かったと思います。

Lang-8でできた友達とはFacebookでつながり、次第にLang-8は使わなくなりました。

添削をしてもらうにもお礼のコメントを書くし、お返しに添削をしてあげようと思うと、かなりの時間を取られてしまうので、そのうちサイトを開かなくなりました。

また、英語で書くと気持ちをクリアに表せるような気がして、何か腹が立った時や悲しくなったときに手帳に気持ちを書き出してみたりしました。

日記のように毎日つけていたわけではないですが、気づいたときにその手帳に長々と英文を書いていました。

誰に見せるわけでもないので、自由に、どこかで見たような表現を使ってみたりしました。

そんな風に、日常的に英語を書く機会を持つことはとても大事です。

2013年の受験では、ライティングの点数が10%強上がり、2016年では更に10%強上がりました。

ライティングの力がついたと感じたのは、友達とのやり取りで書くことが考える速度と同じくらいになった時です。4年間、チャットや言語交換サイトで英文をたくさん書きました。

相手のよく使う表現は自然に自分も使うようになります。

たくさんのやりとりを通して、書く力はとてもついたと思います。

2016年の受験の前には、Hello Talk という言語交換サイトで仲良くなったアメリカ人の友達に、エッセイを見てもらって、形を整えて書く練習をして仕上げました。

英検のエッセイの模範解答はあまり意識しなくていいと思います。

2016年の試験ではエッセイの得点率が84%と高くなっていますが、自分の知っている範囲の語彙で型通りにシンプルに書いたと思います。

論旨がはっきりしていて、効果的なサポート意見をわかりやすく述べていれば、高得点がもらえます。

エッセイライティングも、多読と同様、ひたすら書くことで確実に力がつきます。

エッセイライティングには「多書」が有効だと証明できたと思います。

単語集は使わない

2012年に初めて英検1級を受けようと思った時、実は私は、最初は単語集を買って、従来型の試験対策をやってみました。

その頃は、子供たちが多読で読む力を付けるのを見ていたのに、まだ多読が英検のような資格試験に一番有効だとは思っていませんでした。

特に、英検1級に合格した人の勉強法を調べると、単語を覚えることに始まり単語を覚えることに終わる、という主張ばかりです。

そこで単語集で単語を覚えようと頑張ったのですが、なかなかはかどらず、英検1級に必要な語彙10000語に到達するのは程遠い状況でした。

ある程度覚えたかな、と思って過去問をやってみても、1ミリも語彙が増えた実感がありませんでした。

単語集、投げました。

でも、単語集で単語を覚えなくても、アカデミックな文を読んでいけば語彙は少しずつ増えていきます。

4択の単語のうち、2つはどこかで目にしていて何となく意味が分かるので、2択まで絞れるようになります。

それで、確率上5割は取れる見込みになります。

2016年の試験では語彙問題は得点率32%とひどい結果でした。ただ、過去問をやってみるとだいたい5割くらいは取れていたので、当日は運が悪かったと思っています。

語彙の問題をニュージーランド人の友達に見せたら「知らない単語もあるが、4択なので何となく意味を類推して正解を選べる」とのことでした。

彼女は大学も出ていてアカデミックな部類の人ですが、英検1級の語彙問題の単語は、生活したり仕事をしたりする中では使わない単語が多くあるということです。

日本語でも、難しい言葉は必要であれば意味を調べます。

そんな難しい単語を全部覚えようとすることは、語学の専門家になる人しか必要ないと思います。

アカデミックな文章は、読んでいても楽しいです。

単語集で辛い思いをして時間を費やすよりは、多読をした方がずっと豊かで近道です。

単語集で単語を覚えなくても、英検1級は受かります!

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