英語の学習法の一つとして、ここ数年「多読」が認知されてきました。
中学や高校でも多読を取り入れている学校が増えてきています。
でも、多読で本当に英語の力がつくのでしょうか?
はい、つくんです!
大人も、子供も、多読を続けることで資格試験や受験にも力を発揮する力を付けることができます。
自分の英語教室で多読を取り入れて10年近く、子供たちの英語の力の付き方にひたすら驚いてきました。
また、自分も多読で力が付くことを証明したくて英検1級を受験して合格しました。
では、実際にどのように多読を進めて、どのように力が付いていくのでしょうか。
多読ってすごいかも!?
多読との出会い
自分自身は、ガチガチの文法英語を一生懸命勉強し大学に入りました。
英語は得意でしたが、大学に入って勇んで買った洋書は読めなくて、最初の数ページを読んでそのまま放置。
結婚し、子供を産み、自分の時間ができたところで英語を使って仕事をしたいと、フランチャイズの児童英語教室を始めました。
でも、実は英語はあまりしゃべれないし、本も読めないし、自信がなかったので仕事がとても苦しかったです。
その後、3年でフランチャイズの教室をやめ、残ってくれた生徒さんと小さな英語教室を始めました。
様々なセミナーに参加し、フォニックスを使ったレッスンや、コースブックを使ったレッスンなど、試行錯誤していました。
そんな時、当時電気通信大学准教授だった酒井邦英先生の多読セミナーに参加したのです。
セミナーで多読を初めて知り、多読の理論にすごく納得がいきました。
そして、小学5年生と2年生の子供を連れて、電気通信大学の「社会人多読」に週に一回通うことになりました。
その頃、多読はまだ大人のための学習法で、子供に多読を導入している教室はあまりありませんでした。
でも、私の子供たち、特に5年生の本好きの姉が多読にはまり、ほどなくして児童書のペーパーバックを読むようになったのです。
教室に多読を導入
多読の効果を確信し、私の教室を多読メインのレッスン内容に変えました。
まだ英語の授業を受け始める前の子供たちが、英語で語数の少ない本を楽しげに読み始めます。
子供の多読のメリットは、文法などの知識が入っていないので英語をそのまま吸収するところです。
特に10歳ごろと言われるマインドブロックの形成の前の子供たちは、言葉が日本語だろうが英語だろうが、類推しながら読み聞かせを聞き絵本を楽しみます。
①最初はCDで朗読を聞きながら絵本を読んでいきます。
②そのうち、文字に目が行き始め、朗読に合わせて単語を目で追うようになります。
③CDがない本も自力で読み始めます。また、CDがあっても聞かずに自分のペースで読みたがるようになります。
①~③は、子供によって進度がそれぞれで、早ければいいわけではありません。
小学生は本を持ち帰ってよく読んでくれるので、多読・多聴でどんどん英語を体にためていきます。
中学生の多読
小学生でたくさん読んでくれていたのに、中学生になると、部活や定期テストに追われ、家で多読をする時間がぐっと少なくなるようです。
それでも、多読・多聴に加え、英語の会話(多話)、英語日記(多書)など、4技能を同時に使っていくようになると、英語の力がぐっと伸びる瞬間が出てきます。
試しに英検を受けると、学校の定期テストでは測れない、習っていない文章が読める、聞ける、という力に気付いてちょっと驚くようです。
高校生の多読
更に時間が無くなり、各自家で本をあまり読めなくなりますが、レッスンではニュース記事や短編などを読んだり読解問題をやったりして、多読の時間を確保しています。
高校生になると、明らかに自分たちが学校の周りの生徒より簡単に読めていることに気付くようです。
生徒さんはあまり私に模試の結果を教えてくれないですが、自分の子供たちは英語の模試の偏差値が大体いつも70くらいでした。
でも、定期テストのための勉強はしなくていいと言ってあるので、成績はいつもそんなに良くありませんでした。
勉強しないのに英語ができる多読の効果は、高校の模試で実感することが多いようです。
大学受験と多読
多読と英検などの資格試験や大学受験は相性がいいと思います。
特に近年は、文法を問う問題もぐっと減り、ひたすら長文を読んで読解をしたり、英作文が出たりと、使える英語を測る試験になってきています。
英検や大学入試の問題は、読んでいて面白いものが多く、受験勉強も楽しめるようです。
入試対策は多読と過去問で十分です。
単語帳を覚える必要は全くありません。単語帳は確認に使ってもいいと思います。
英語にあまり時間をかけなくていいので、他の教科に時間を使うことができるメリットもあります。
私の教室を卒業していった生徒たちは、英語を活かして進学し、また大学で留学する子が多いです。
自分は英語ができるという自信と、英語が好き、という気持ちを持ち続けてくれています。
子供の多読の注意点
多読の欠点は、力がどのくらいついているか自分では実感しづらいところです。
英検などを受けて初めて、特にリスニングができることに驚くことが多いようです。
小学生のうちは英語のテストがないのでいいのです。
中学生になって、英語のテストであまりいい点数が取れないと、多読をやっても意味がないのでは、と疑うことになります。
英語のテストは、単語のスペルを覚えたり、文法用語を暗記したり、定期テスト対策をしないと、多読をしているだけでは高得点は取れません。
英語の本を読んでいる時点ですごい力がついているのに、それがすごいことだと気づかないのです。
だから、それぞれが以前を振り返って、1か月前、1年前には読めていなかった本を今読めている、力がついている、ということに気づかせてあげることが大切です。
英語のテストで点が取れないので、塾に通うため多読をやめてしまう子もいました。
それは、私がちゃんと力がついていることを実感させてあげなかったせいだと後で後悔しました。
また、多読・多聴だけでなく、多書、多話も一緒にやってこそ力がついていきます。
英語日記を毎週しっかり書いてくる子は、多読との相乗効果でみるみる文章の表現が豊かになっていきます。
数か月前に書いた日記をたまに見せてあげると、本人も自分の書く力の付き方にびっくりするようです。
日記を書く子は、話す力もぐんと伸びます。
それぞれの子供たちのそれぞれの進歩に、いつも気付かせてあげることがとても大切です。
結論:多読で英語が得意になる
多読を続けるには、それぞれの子供たちの読む力や興味にあった本を提供し、どのくらい力がついているかを折に触れ自覚させてあげることが大切です。
多読でついた力は、たとえブランクがあっても消えてしまわないし、長い人生で英語を使っていくためのしっかりした土台になってくれます。
使える英語を手にしていれば、未来の選択肢も大きく広がります。
多読を続けることで、無理なく英語の力を更に高めていくことができます。
ぜひ、子供たちに多読の種をまいて育ててあげてほしいです。
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